SCIPは、SVHC(高懸念物質)候補リストに収載された物質を0.1重量%を超えて含む成形品について、EU市場に出す事業者がECHA(欧州化学品庁)のデータベースへ情報を登録する制度です。届出義務は2021年1月5日に始まりました。目的は、廃棄・リサイクルの段階で有害物質の所在を把握できるようにすることです。
届出の義務主体はEU域内の供給者です。日本の部品メーカーは直接の届出者ではありませんが、EU側の輸入者や販売者が届出できるよう、物質名・濃度範囲・所在する部品といった情報を渡すことを求められます。取引先から「SCIP用の情報を出してほしい」と言われるのはこの場面です。
廃止が提案されている
| 時点 | 内容 |
|---|---|
| 2021年1月5日 | 届出義務が開始 |
| 2025年12月10日 | 欧州委員会がEnvironmental Omnibusを採択・公表し、SCIP廃止を提案 |
| 2026年9月時点 | 欧州議会・理事会の審議待ち。廃止時期は未確定 |
廃止提案の理由として挙げられているのは、リサイクル業者への情報提供として有効に機能しておらず、企業側の行政負担が過大であるという点です。代替として位置づけられているのがDPP(デジタル製品パスポート)です。
未確認
廃止が確定したわけではありません。審議の結果次第で内容が変わる可能性があり、廃止の時期も決まっていません。現時点では届出義務は有効です。
実務上の注意
一つ目は、廃止の提案を理由に今の対応をやめないことです。審議中である以上、義務は続いています。経緯はSCIPデータベースが廃止されるかもしれないで追っています。
二つ目は、SCIPのために集める情報がREACH規則第33条の情報伝達と重なる点です。同じ調査を二重に回さず、成分情報を一度集めて両方に使う形にしておくと、廃止されても集めた情報は無駄になりません。仕入先にとっても、同じ内容を二度聞かれるのは回答が止まる原因になります。
三つ目は、届出に必要な粒度です。SCIPで求められるのは、物質名と濃度範囲に加えて、その物質がどの部品のどこにあるかという所在です。品番と部品構成が紐づいていないと、この所在が書けません。台帳の作り方は無料でできる範囲の管理台帳の作り方にあります。
なお、候補リストは2026年2月4日の第35次追加で253エントリーになりました。追加のたびに自社品目への影響を見る作業が発生します。進め方はSVHCが追加された時の影響調査を1日で終える手順にあります。
日本の会社がSCIPに届け出る必要はありますか
届出義務はEU域内の供給者にかかります。日本の部品メーカーは通常、輸入者へ情報を提供する立場です。ただし取引先との契約で提供内容が指定されている場合があるため、依頼文面を確認してください。
廃止されるなら準備を止めてもいいですか
止めないほうが安全です。2026年9月時点で審議中であり、廃止の時期も確定していません。届出義務は継続しています。