成形品は、化学物質規制の文脈で使われる用語で、その物の機能が化学組成よりも形状・表面・意匠によって決まっているものを指します。英語の article の訳語です。ねじ、コネクタ、プリント基板、筐体、ケーブル、完成した装置はいずれも成形品です。
対になるのが化学品です。塗料、インク、接着剤、はんだペースト、洗浄剤、樹脂ペレットのように、形ではなく組成が機能を決めるものが該当します。
どこで出てくるか
最も頻繁に出てくるのはchemSHERPAです。成形品にはchemSHERPA-AI(拡張子 .shai)、化学品にはchemSHERPA-CI(拡張子 .shci)を使います。AIは成分情報と遵法判断情報の両方を持ちますが、CIは成分情報だけです。
| 区分 | 例 | chemSHERPA | 拡張子 |
|---|---|---|---|
| 成形品 | ねじ、基板、筐体、ケーブル、装置 | AI | .shai |
| 化学品 | 塗料、インク、はんだペースト、樹脂ペレット | CI | .shci |
もう一つの登場場面がREACH規則第33条です。候補リスト収載物質を0.1重量%を超えて含む成形品をEU市場に供給する事業者に、情報伝達義務があります。この0.1%の分母が成形品です。
実務上の注意
一つ目は、成形品の単位をどう取るかです。装置1台を1つの成形品と見るか、それを構成する部品それぞれを成形品と見るかで、濃度の計算結果が変わります。EUでは部品それぞれを成形品として扱う考え方が定着しています。判断に迷う場合の考え方は0.1%の分母は何かにあります。
二つ目は、境界にある品目です。粘着テープ、はんだ線、シール材のように、形を持ちながら組成が機能を決めるものがあります。取引先に確認せずに片方で作ると差戻しになります。判定の手順はchemSHERPA-AI と CI、どちらを出すのかにあります。
なお、成形品の閾値判断は均質材料を単位とするRoHSとは別の考え方です。同じ部品について、RoHSでは材料まで割り、REACH第33条では成形品としてまとめる、という二段構えになります。片方の計算結果をもう片方に流用すると誤ります。
化学品が成形品になるとき
塗料を部品に塗った時点で、塗膜は成形品の一部になります。はんだペーストも、基板に載って固まれば成形品の構成材料です。つまり仕入先から.shciで受け取った化学品の情報は、自社の.shaiの中に材料として取り込まれます。この受け渡しの向きを取り違えると、化学品のまま顧客に出してしまい差し戻されます。
判断に迷う品目が出たら、まず「顧客はこれを何として買っているか」を見てください。形を指定して買っているなら成形品、量と組成を指定して買っているなら化学品です。
組み立てた装置は成形品ですか、それとも成形品の集まりですか
両方の見方が成り立ちます。EU市場への供給では、装置に組み込まれた個々の部品をそれぞれ成形品として扱う運用が一般的です。装置全体で薄めた濃度で判断すると過小評価になります。
樹脂ペレットは成形品ですか
化学品として扱います。形状はありますが、機能を決めているのは組成です。ペレットを成形した後の部品は成形品になります。