chemSHERPAを運営していた一般社団法人アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)は、2025年10月29日にCMPコンソーシアム(Chemical and Circular Management Platform)へ統合・改組されました。公式の告知は翌10月30日に出ています。
実務上の影響はいくつもありますが、いちばん多い問い合わせは「社内手順書に書いてあるURLが開かない」です。サイトが chemsherpa.net から cmp-consortium.com へ移っており、旧URLは当面リダイレクトされているものの、いつまで続くかは公表されていません。
何が変わったか
| 項目 | 2025年10月28日まで | 2025年10月29日以降 |
|---|---|---|
| 運営組織 | 一般社団法人アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP) | CMPコンソーシアム(Chemical and Circular Management Platform) |
| 公式サイト | chemsherpa.net | cmp-consortium.com(旧URLは当面リダイレクト) |
| chemSHERPAの提供 | 継続 | 継続。ツール・物質リストの改訂も継続 |
| 会員制度 | JAMP会員 | CMP会員(名称・区分が変わっている) |
| 講座・セミナー | JAMP基礎講座等 | CMP基礎講座等 |
ツールそのものの互換性が切れたわけではありません。データ作成支援ツールは改組後も更新されており、2026年4月24日には日本語版・中国語版のV2R1.03.0が、5月1日には英語版rev.1が公開されています。
「アーティクルマネジメント推進協議会」は現在形で書かない
社内文書でいちばん直すべきなのはここです。2025年10月29日以降、この名称の団体は存在しません。
にもかかわらず、次のような文面が各社の手順書・取引先向け案内に残っています。
- 「アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)が提供するchemSHERPAで回答してください」
- 「詳細はJAMPのウェブサイト(chemsherpa.net)をご参照ください」
- 「JAMP会員向け講座の受講を推奨します」
取引先に配る文書にこれが残っていると、相手方が検索して辿り着けません。過去の経緯として書く場合は「2025年10月までJAMPが運営していた」のように、過去形かつ時点つきで書きます。
沿革を押さえておくと、古い文書が読める
現場には2010年代の文書が普通に残っています。名称の変遷を知っていると、目の前の文書がいつのものか判断できます。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2005年7月 | ダウンストリームユーザ研究会の発足 |
| 2006年9月11日 | JAMP設立(17社が発起) |
| 2009年6月 | JAMP-GP(グリーン調達ガイドライン)の運用開始 |
| 2016年4月 | chemSHERPAの運用開始 |
| 2018年6月29日 | JAMP MSDSplus および JAMP AIS の公開終了(JGPSSIも同時期に終了) |
| 2025年10月29日 | JAMPがCMPコンソーシアムへ統合・改組 |
つまり、手元の依頼文書に「AISで提出してください」と書かれていたら、その文面は2018年以前に作られたまま更新されていない可能性が高い。取引先に確認したほうが早い場合があります。
いま直すべき箇所の一覧
社内と社外で、次の6か所を点検します。
- 社内の作業手順書に書かれた組織名・URL
- 取引先へ送る調査依頼メールのテンプレート
- 自社のグリーン調達基準書の参照先
- 品質マニュアル・環境マニュアルの引用箇所
- ブックマーク・社内ポータルのリンク集
- 教育資料(新任者向けの説明スライド)
このうち2は、相手方が旧URLで迷子になるため優先度が高い。督促のたびに「リンクが開かない」と返ってくると、それだけで1往復が無駄になります。督促の文面は返ってこない調査依頼の督促テンプレート3段階に置いています。
講座・教育の扱い
CMPコンソーシアムは基礎講座を有料で提供しています。公開されている受講料は会員5,200円、一般15,300円です。ただしこの金額は改組の前後で改定されている可能性があり、本記事の参照日時点の公表値として扱ってください。申込方法・定員も変更される場合があります。
外部のCMP公認講座としては、キャリアパートナーズが実務者講座を開いています。こちらは半日12,100円(CMP会員9,900円)、1日25,300円(同20,900円)という公開価格です。受講料が実額で公表されていることは、この領域に「お金を払ってでも習いたい人がいる」ことの裏返しでもあります。
まだ確認できていないこと
未確認
2026年9月16日付でCMPコンソーシアムから「NewCMPアプリ」およびプラットフォーム認証に関する告知が出ていますが、内容の詳細、対象範囲、既存のデータ作成支援ツールとの関係については本記事の執筆時点で確認できていません。確認でき次第、本記事を改訂します。
同様に、旧URL(chemsherpa.net)のリダイレクトがいつまで維持されるかも公表されていません。社内文書のURLは、リダイレクトに頼らず新URLへ書き換えておくことをおすすめします。
改組後も、中身の改訂は続いている
組織が変わったことより、実務に効くのは中身の改訂です。改組の前後を通じて、次の変更が入っています。
| 時期 | 内容 | 実務への影響 |
|---|---|---|
| 2026年4月10日頃 | 管理対象物質リスト Ver.2.13.00 の正式版とツールを公開 | LR05 POPs規則、LR06 REACH SVHC(第34次・第35次)、LR07 Annex XVII、LR08 医療機器規則、IC01 GADSL、IC02 IEC 62474 の6項目を改訂。EU規則2025/1930・2025/1731・2025/1988に対応 |
| 2026年4月24日 | データ作成支援ツール V2R1.03.0(日本語版・中国語版)を公開 | 旧版からの切換え要請。使用期限は公表されていない |
| 2026年5月1日 | 同 英語版 rev.1 を公開 | 海外拠点・海外サプライヤーへの展開はこの版から |
| 2026年6月23日 | CAS RN のある一般化学物質も収載する方針へ変更すると告知。2026年秋の定期改訂から実施 | 収載物質の範囲が広がる。秋以降、申告対象が増える可能性がある |
| 2026年9月8日 | EU RoHS適用除外コードの自動変換機能を実装 | 適用除外コードの改番に、ツール側が追随するようになった |
このうち実務への影響が大きいのは2026年6月23日の方針変更です。従来は法規制または業界要求で指定された物質が収載対象でしたが、CAS RN のある一般化学物質も収載する方向へ広がります。2026年秋の定期改訂から実施されると告知されています。秋以降、仕入先への照会項目が増える可能性を見込んでおいたほうがよい。
物質リストの構成そのもの(LR01〜LR08の法規制と、IC01〜IC02の業界要求)は変わっていません。構成の読み方は管理対象物質リストはどこを見ればいいのかに書きました。
取引先から古い名称で依頼が来たら
「JAMPの様式で」と書かれた依頼が届くことは、しばらく続きます。実務上は、chemSHERPAのデータ作成支援ツールで作成した .shai または .shci を提出すれば通ります。組織名が古いだけで、求められているものは同じです。
ただし「AIS形式で」と明記されている場合は別です。JAMP AISは2018年6月29日に公開を終了しているため、現行のツールでは作成できません。この場合は取引先に確認してください。どちらを出せばよいか迷う場合はchemSHERPA-AI と CI、どちらを出すのか3問で判定を参照してください。
旧サイトのブックマークはいつまで使えますか
公表されていません。旧URLは当面リダイレクトされていますが、終了時期の告知は本記事の参照日時点で見つかっていません。社内ポータルや手順書のリンクは、リダイレクトに頼らず cmp-consortium.com へ書き換えておくのが安全です。
改組でchemSHERPAのデータ形式は変わりましたか
形式そのものの変更は告知されていません。ツールのバージョンアップ(2026年4月のV2R1.03.0など)と管理対象物質リストの改訂は、改組の前後を通じて継続しています。旧バージョンのツールからの切換え要請は出ていますが、明確な使用期限は公表されていません。
社内の規程を直すとき、どう書けばいいですか
組織名を固定で書かず、「chemSHERPAの提供元が公開する最新の管理対象物質リストに従う」のように、成果物の名称で書いておくと次の改組で書き直さずに済みます。URLを本文に埋め込むのではなく、社内ポータルの一箇所にまとめて、規程からはそこを参照させる形にすると保守が楽になります。