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法規制解説

RoHS適用除外項目の期限が2027年に集中している

自社が今どの除外コードに頼っているか、即答できる会社は多くありません。期限は2027年に固まっています。

RoHS(指令2011/65/EU)には、技術的に代替が難しい用途について、期限つきで制限を免除する適用除外の枠組みがあります。この除外の期限が、2025年に公布された委任指令3件によって2027年に集中しました。

3件はいずれも鉛に関するものです。はんだ、合金、ガラス・セラミック部品という、電子機器と機械部品の広い範囲に関わります。

委任指令3件の内容

委任指令対象除外コード新しい期限
(EU) 2025/2364鋼・アルミニウム・銅合金中の鉛6(a), 6(a)-I, 6(b), 6(b)-I, 6(b)-II, 6(c)2027年6月30日
(EU) 2025/1802高融点はんだ中の鉛7(a)、および新設の 7(a)-I から 7(a)-VII2027年末
(EU) 2025/2363ガラス/セラミック部品中の鉛7(c)-I, 7(c)-II、および新設の 7(c)-V, 7(c)-VI2027年末
2025年公布のRoHS適用除外に関する委任指令3件

3件に共通する日程は次のとおりです。発効はいずれも2025年12月11日。加盟国の国内法化期限は2026年6月30日。適用開始は2026年7月1日です。本記事の参照日(2026年9月20日)は、すでに適用開始後にあたります。

2025年12月11日委任指令の発効3件とも同日
2026年6月30日国内法化の期限加盟国側の作業
2026年7月1日適用開始新しい除外コードが有効になった日

注意したいのが、7(a) と 7(c) で除外コードが枝分かれしている点です。(EU) 2025/1802 では 7(a)-I から 7(a)-VII が新設され、(EU) 2025/2363 では 7(c)-V と 7(c)-VI が新設されました。従来「7(a)」とだけ書いていた申告は、どの枝に当たるかを特定し直す必要があります。

公布日の記載に食い違いがある

(EU) 2025/1802 については、参照する資料によって公布日の記載が異なります。

出典記載
EUR-Lex のメタデータ官報掲載・発効とも 2025年12月11日
JEITA の解説2025年11月21日公布
共通して示されている事項採択日 2025年9月8日、新期限 2027年末
(EU) 2025/1802 の日付に関する記載の違い

本記事はEUR-Lexの記載を採用しています。一次資料である官報のメタデータを優先したためです。ただし、業界団体の解説と食い違っている事実そのものは、社内資料に書き残しておいたほうがよい。監査や取引先から日付の根拠を問われたとき、どちらを見たかで説明が変わるためです。

未確認

この食い違いの理由は本記事の参照日時点で確認できていません。採択から官報掲載までの手続き上の段階を、どの日付で表現しているかの違いである可能性がありますが、裏付けは取れていません。社内文書では「EUR-Lexのメタデータによる」と出典を添えて日付を書くことを勧めます。

更新申請の締切は、すでに逆算すると過ぎている

適用除外は、期限が来たら自動で延長されるものではありません。継続して使いたい場合は、期限の18か月前までに更新申請が必要です。

これを新しい期限に当てはめると、次のようになります。

新期限18か月前参照日(2026年9月20日)との関係
2027年6月30日(6系の除外)2025年12月30日すでに経過
2027年12月31日(7(a)系・7(c)系)2026年6月30日すでに経過
新期限から18か月を差し引いた日付

つまり、これから自社の判断で更新申請を出して期限を延ばす、という選択肢は、この3件については時期的に取りにくい状況です。申請は通常、業界団体が取りまとめて行います。自社が加入している団体が申請済みかどうかを確認するのが、現実的な次の一手になります。

未確認

上の表の「18か月前」は、公表されている期限から計算した日付であり、実際の申請受付状況、業界団体による申請の有無、個別の取り扱いについては確認していません。期限の到来後に除外が延長されるか、失効するかも未確定です。自社に影響が大きい除外コードがある場合は、加入団体または輸出先の輸入者に直接確認してください。

自社が使っている除外コードを洗い出す

期限の話をする前に、自社がどの除外に頼っているかを把握していないケースが多い。洗い出しは次の順で進めます。

  1. chemSHERPA-AIの遵法判断情報を品目ごとに開き、除外コードが入力されている行を抽出する。
  2. 抽出した行を除外コード別に集計し、6(a)系・7(a)系・7(c)系に該当するものを分ける。
  3. 該当した品目について、仕入先・部品番号・使用している製品を紐づける。
  4. 製品単位で「2027年に期限が来る除外に依存している製品」の一覧を作る。
  5. その一覧を設計部門に渡し、代替の可否を確認する。

3の紐づけが抜けると、期限が来たときに影響範囲が特定できません。逆にここまで作ってあれば、失効が決まったときの対応は代替検討に入るだけで済みます。

対象範囲をどこまで見るかで迷う場合は自社は何を管理すればいいのか(対象範囲の決め方)を先に読んでください。制限10物質と閾値そのものはRoHS指令の制限10物質と閾値にまとめています。

除外コードの改番にツール側が追随した

chemSHERPAでは、2026年9月8日にEU RoHS適用除外コードの自動変換機能が実装されました。除外コードの改番に対して、ツール側が変換をかけるようになっています。

実務上は、これで既存データの手直しがある程度は機械化されます。ただし、自動変換された結果をそのまま信用するのではなく、次の点を確認してください。

確認項目見るところ理由
変換されたコードの妥当性7(a) が 7(a)-I から VII のどれになったか枝分かれの選択は用途によって変わる
未変換で残った行変換対象外とされた除外コード対象外の理由が判断できていない可能性がある
旧版ツールで作ったデータ作成に使ったツールのバージョン自動変換は実装後の版でしか効かない
取引先へ提出済みのデータ提出日と使用した除外コード提出済み分の差し替えが要るかどうか
自動変換後に確認すること

使用するツールは、日本語版・中国語版のV2R1.03.0が2026年4月24日、英語版rev.1が2026年5月1日に公開されています。旧版からの切換え要請は出ていますが、明確な使用期限は公表されていません。ツール周りで詰まる場合はツールが起動しない・エラーで怒られる時を参照してください。

取引先とのやりとりで起きること

除外コードの改番と期限集中は、そのまま調査依頼の増加になって現れます。川下から「7(a)のどの枝か明記してください」という照会が来る。川上に同じことを聞き直す。この往復が2026年後半から2027年にかけて増えます。

往復を減らすには、最初の依頼文に枝番の選択肢を書いておくことです。「7(a)に該当する場合は、7(a)-Iから7(a)-VIIのいずれかを選んでご回答ください」と書くだけで、戻ってくる回答の質が変わります。返ってこない場合の督促は返ってこない調査依頼の督促テンプレート3段階に文面を置いています。

差し戻しの原因になりやすい箇所は差戻し理由TOP10と、その直し方にまとめました。除外コードの記載漏れと、期限切れ除外の使用は、どちらも上位に来ます。

日付を社内カレンダーに落とす

この手の期限は、資料の中に書いてあるだけでは動きません。担当者が代わると一緒に消えます。次の5つを、担当者名つきで社内のカレンダーに入れてください。

日付何の日か参照日との関係
2025年12月11日委任指令3件の発効経過
2026年6月30日加盟国の国内法化期限経過
2026年7月1日適用開始。新しい除外コードが有効に経過
2027年6月30日6(a)系・6(b)系・6(c)の除外期限約9か月後
2027年12月31日7(a)系・7(c)系の除外期限約1年3か月後
カレンダーに入れる日付(2026年9月20日時点で判明しているもの)

2027年6月30日までは1年を切っています。設計変更を伴う代替検討は、この期間では足りないことが多い。まず影響のある製品を特定し、代替が要るものと要らないものを分けるところまでを、期限の半年前までに終わらせる想定で逆算します。

期限の前後で判定が変わるため、社内の判定基準書にも日付を書いておきます。「7(a)の適用を認める」とだけ書かれた基準は、2027年末を越えると誤った判定を出し続けます。

今年度中にやっておくこと

2027年の期限に向けて、2026年度内に終わらせておきたいのは3つです。

第一に、除外コードの棚卸しを完了させ、製品との紐づけまで作ること。第二に、加入している業界団体に更新申請の状況を確認すること。第三に、2027年に期限を迎える除外に依存している製品について、代替の検討を設計部門に着手させること。

3番目がいちばん時間がかかります。はんだや合金の変更は、工程条件の見直しと信頼性評価を伴います。失効が決まってから始めると間に合いません。

自社が使っている適用除外コードは、どこを見ればわかりますか

chemSHERPA-AIの遵法判断情報です。品目ごとに、どの物質にどの除外を適用しているかが入力されています。データを持っていない品目については、仕入先に「RoHS適用除外の適用有無と、適用している場合の除外コード」を明示して照会してください。品番だけの照会では、除外コードは返ってきません。

期限が来たら、その部品は使えなくなりますか

期限到来後に除外が延長されるか失効するかは、本記事の参照日時点で未確定です。失効した場合、その除外に頼っていた用途は制限対象に戻ります。ただし、既に上市された製品の扱いや経過措置は法令ごとに異なるため、輸出先の輸入者に確認してください。確定を待たずに代替検討を始めておくほうが安全です。

委任指令の公布日が資料によって違います。どちらを書けばいいですか

(EU) 2025/1802 について、EUR-Lexのメタデータは官報掲載・発効とも2025年12月11日、JEITAの解説は11月21日公布としています。社内文書には一次資料であるEUR-Lexの日付を書き、出典を併記してください。そのうえで、別の日付を記載した資料が存在する事実も注記しておくと、後から照合されたときに説明できます。

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